今なぜ、司馬遼太郎?

【疑】 月刊「創」に連載中の「永六輔×矢崎泰久のぢぢ放談」が好きなのだが、12月号では国家を語る中で、司馬史観について触れていた。

今年はNHKが大河ドラマの「天地人」を一ヶ月早く終わらせて、「坂の上の雲」を始めたし、来年の大河ドラマも「竜馬伝」だ。

「坂の上の雲」は今後3年間続くというし、NHKが司馬ドラマにやけに力を入れている。

司馬ブームを起こそうとしているのだろうか。

当方、もともとブームには背を向けがちなへそ曲がりなので、このNHKの司馬ブームにも、つい疑いのまなざしを向けてしまうのだ。



矢崎:明治という時代が生んだ皇国史観もさることながら、もう一つ問題だと思うのは、司馬遼太郎という国民的作家が築いた「司馬史観」というやつですよ。小説ではあるんだけど、幕末を舞台にした『竜馬がゆく』にしても、日清・日露の明治期の二大戦争を舞台にした『坂の上の雲』にしても、司馬ファンというのは、その物語を日本の正史みたいに思っちゃうわけでしょう?



要するにね、司馬史観なんてインチキだって言ってる人もいっぱいいるわけですよ。急先鋒は『司馬遼太郎の歴史観』という本を書いた中塚明という歴史学者(奈良女子大名誉教授)だと思うけど、彼はほんとに悔し涙を流すほど怒っているわけ。もともとは専門は朝鮮史の研究者で、『坂の上の雲』は日清・日露戦争を描いているが、その戦場となった朝鮮のことは司馬遼太郎はまったく触れていないと。それは、日本の歴史に対して、ほとんど"犯罪"を犯しているようなものだと批判しているわけですよ。要するに司馬史観というのは、昭和の日本はだらしなかったけど、日清・日露の明治時代は栄光に満ちていた、そういう歴史観ですよ。



:戦争に負けた昭和はダメだったけど、戦争に勝った明治はよかったと。



矢崎:そういうこと。



:司馬さんが政治的な人だとは思わないけど、国民に支持されるということは、結果的に、国ありきの思想を抜きにしては語れないのかもしれない。



矢崎:それが歴史観として固定されるのが、オレは一番まずいと思うわけ。司馬遼太郎は文学者だからまだいいけど、権力を持った政治家や官僚が恣意的に歴史をねじまげたら最悪ですよ。国民って、目の前の現実的なご利益につられて、耳に心地よい理念的な言葉をすーっと受け入れてしまうところがあるでしょう。ポピュリズムに動かされる「国民」にも責任はあるかもしれないけど、それを操る政治家はもっと罪が重いですよ。




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